「SPOON」/高野宮子(角川書店アスカコミックス)

 これは…もう10年も前になりますか。友人に薦められて(というかプレゼントされて)読みました。
 それ以前に、高野さんが同人畑で書いていたパロディ作品はいろいろ読んでいたのですが、商業誌での作品は、失礼ながらこれが初読でした。
 その友人と一緒に、大阪から名古屋へ向かう近鉄特急の中で読んだのですが…。
 読み終わったときに、涙が止まらなくて、車内サービスのおしぼりでずっと涙をぬぐっていた記憶があります。ありがとう、近鉄特急!

 この単行本には5本の短編が収録されているのですが、そのうち、3本がオムニバス形式…共通の登場人物が端々に出てくる形式のものです。
 時系列順にいうと「SPOON」→「RALPH」→「ずっとつらなってゆく、ちいさな、けれどなんてたくさんの灯」の順です。
 私が号泣したのは「ずっとつらなってゆく~」。
 犬を飼った事のある人ならば、これはもう泣かずにはおれない秀作です。私は再読するたびに泣きます。
 メアリが裕樹を追って海に入っちゃう辺りから…あ、思い出しただけで涙が出てきた。
 このメアリという犬は生物ではなく、模造品…つまりAIチップの入った犬のロボットなのですが、でも本物の犬と同じくらい主人を愛し、そのために愛された犬だったんです。
 「命」とは何なのか。
 「存在」とは何なのか。
 一途で無垢な犬の「魂」が、メアリには宿っていたはずです。
 だからこそ彼女は多くの人に愛された。
 生物であることだけが「命」ある証拠ではない。

 「命」が軽々しく扱われ、消えていく今、私はこの本を今の子供たちにたくさん読んでもらいたいと思います。


Spoon

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