「孤島の鬼」/江戸川乱歩(創元推理文庫)*注意 

 いまや「古典」の感さえある乱歩ですが、幼い頃「怪人二十面相」「少年探偵団」に魅せられた方も多いことでしょう。いや、読んではいなくともあまりにも有名なシリーズと作者ですよね。
 独特の場面設定、情景描写、幻想性、語り口…そうしたものに魅せられたファンも多いことでしょう。 読み出したら手を止めることができない。否応なく物語に引き込まれてしまう…大げさでなく、本当にそうなってしまうのが乱歩の小説です。

 この話はノンシリーズものなのですが…知っている人は知っている名作です。 
 そうそう、昔「なかよし」という少女漫画雑誌で、この作品を原作に高階良子氏が「ドクターGの島」という漫画を描いていたのをご存知の方いらっしゃいませんか?
 少女漫画ということで、主人公は小夜子という女の子になっていましたが…作中の謎解きの部分でようやく「あの漫画だ!」と気がつきました。最近本屋で文庫本になっているのを見かけましたので双方を読み比べてみても面白いかも。最近文庫で再版されたはずです。
 でも…私らのような人間には、主人公は原作通り男でなくちゃ意味がないんですよね!?
 乱歩にしてもそうだったはず…そうそう、「創元推理文庫」刊の巻末には作者の「自註自解」がありまして、それに「岩田準一氏と同性愛の文献あさりを…」という一文が見られます。…いや、本当なんですよ!
 この岩田準一氏。当時「犯罪科学」という雑誌に「本朝男色考」という論文を書いていらした方で(笑)、「文献あさり云々」というのはそのためだったと思われます。
 また岩田氏は、その記事を眼にした南方熊楠氏と書簡のやり取りもしていたそうです
 そう! 日本博物学の祖にして、粘菌研究の第一人者、南方熊楠です!
 意外なところで人間ってつながってゆくんですね。
 乱歩も相当、同性愛には関心があったようで…この話の主人公が男なのもそのためでしょう。
 何はともあれ、そっち方面に関心のある方はご一読を。


孤島の鬼

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

にまめ
2006年05月25日 23:02
こんばんは、にまめです。
初めてコメント寄せさせていただきます!
今日、新たに乱歩全集を集め始めた同僚に
過去に買っていた「孤島の鬼」を貰い、
さっき読み終わりました。

面白かったです・・・!!
愛情も憎悪もぎゅぎゅっと濃縮で(おいおい)
ねっぷり濃ゆいですね!
そしてラストがせつない・・・。
トリックよりも先に
『道雄に本懐遂げさせてやりてぇ・・・』と
とんでもない事で歯噛みしてしまったのは、
私が髄まで腐女子だからでしょう(薄く笑・・・)

貰ったのは角川ホラー版だったのですが、
部屋に帰って本棚漁ったら読んでなかった
創元推理文庫版が出てきて、挿絵の
妖しさにくらくらしました・・・
かずくん
2006年05月26日 20:39
 そーでしょ、そーでしょ? やっぱ思うよねえ? 道雄ちゃんに本懐遂げさせてやりてぇ~~って!
 でもアレかなあ…ノンケの人にとったら、そういう人って…あんな感じで気持ち悪く見えちゃうもんかなあ…?
 

この記事へのトラックバック