「神の火」全2巻/高村薫(新潮文庫)

 以前にも紹介した高村氏の作品。こちらも根強いファンがついている作品である。

 主人公・島田はロシア人との混血である元原子力発電所設計者。しかしそれは表の顔。
彼はその立場を利用し、原発の情報を他国に売り渡すスパイ活動を長年続けていた。
 引退した彼は、しかしある陰謀に巻き込まれてゆく。彼の前に現れた、「高塚良」という日本人の名を持つロシア人青年の形を持って。
 良はある組織の用心棒として雇われていた。その組織の目的は原発テロ。
 しかしその組織の人間は何者かに殺されてゆき、良の命も風前の灯となる。更に、良の体は病に蝕まれていた。
 良を庇護する男・草介。彼は島田の故郷の幼馴染みであった。
 様々な人間の思惑と陰謀が交錯するサスペンスノベル。


 ここからはネタバレ内容が含まれますので注意!!
 

 高村氏といえば、文庫化する前には必ず大幅改筆をなさることで有名です。
「マークスの山」はそれほど改訂のあとが気にならなかったのですが…タイトルまで変わってしまった「わが手に拳銃を」(改訂後「李歐(リ・オウ)」講談社文庫)は…あれはもう全く別物でしたよね(爆笑)? 書店であの真ピンクの表紙を見たときは、「何事かっ!?」って笑い出してしまいました。(失礼)
 私はこの作品は改訂後のものを先に読んだのですが…こちらの方が島田の良に対する思い入れの高まり方が「毎日一通の手紙」という形で表わされていて、とても自然だったように思います。あ、でも決して元の単行本の方が劣るとかいうわけではなくて…この部分があるからこそ、彼が必死になって良のためにわが身を犠牲にしてまで取引に応じようとするあの場面が生きてくるなと思ったわけで。
 コアなファンの方たちは、単行本(旧版。「神の火」は文庫化された後に再度、単行本の内容そのままに単行本化されました。現在書店で流通しているのはこちら。旧版と呼ばれる改筆前のものは、古書店・図書館などでお探し下さい)の方がお好きだそうです。

 何はともあれ、ドリーマーなお姉さまたちには、高村薫作品はオススメですよ。
 でもこれを高村先生は…無意識のうちに書いてるというのが、一番すごいんですけど。

 


神の火〈上〉神の火〈下〉

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