「猿丸幻視行」/井沢元彦(講談社文庫)

 推理作家にして「逆説の日本史」研究家(?)井沢元彦氏のデビュー作。
 この作品で、1980年・26歳のときに第26回江戸川乱歩賞を受賞されています。

 私が読んだのは1987年…ちょうど高校2年の頃でしたか。
 この小説のお陰で、つまづきかけた日本史の授業に身が入るようになった覚えがあります。

 内容は…現代のある青年が、製薬会社の開発したある試薬のモニターに選ばれ、その実験中に明治時代の実在の人物でありのちに民俗学者となる若き日の「折口信夫」とシンクロし、折口の友人・柿本家に伝わる暗号額を解き明かすというストーリー。

 前半部の設定はちとファンタジーがかっていて苦しいですが、暗号解読、歴史解説の部分は本当に面白い。どんどん引き込まれて、一気に読んでしまいます。

 万葉時代の謎の歌人・柿本人麻呂論は圧巻。
 私は梅原猛説(「水底の歌」参照)よりこちらを取ります。
 いわゆる「歴史ミステリ」というものに私がハマったのは、この作品のお陰。これを読んでいなければその十年後、京極作品や、高田崇史作品を手に取ることはなかったことでしょう。

 その後、井沢氏はSF小説をいくつか書いたり、歴史がらみのミステリを何本かお書きですが…あまり「ミステリ」の部分はお上手とは言いがたい(申し訳ないのですが)。
 どうしても、そこまでに語られる「歴史解読」の部分の方が面白くて、「ミステリ」部分は単なるおまけ…というか、「歴史ミステリ」としての体裁を整えるだけの付け足しのように見えるので。
 他にも何本か私のお気に入りの歴史ミステリがあるんですが、それはまた別の機会に。

 でも、折口信夫氏はあんなことがなくても一生独身だったとは思いますけどね(笑)。いまや彼がゲイだったってのは有名な話ですし(爆笑)
猿丸幻視行

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック