「マークスの山」/高村薫(早川書房)

 「白熱の警察小説」「警察小説の金字塔」と銘打たれ、映画化もされたので、ご存知の方も多いかと思いますこの作品。
 「かるかや」の共同管理人の一人・にまめちゃんが薦めてくれなければおそらく手に取ることもなかったでしょう。……まさか、こんなに面白い作品だったとは…タイトルや表紙だけで判断しては、いけませんね。

 事件の芽は、北岳で起きた一家心中事件。
 そこで生き残ってしまった少年が、十数年後、ある家にこそ泥に入った事から、事件は思わぬ方向に転換してゆきます。
 主人公は警視庁捜査一課七係の刑事・合田雄一郎。
 閑静な住宅街で、やくざの男が他殺体で見つかり、彼の足取りや金の流れを追ううちにバラバラだった事件と人物が、大きな一つの流れに集約してゆく…。
 「マークス」と名乗る青年の目的は何なのか? 
 彼と弁護士・林原を繋ぐ糸は何なのか?

 捜査に関する緻密で綿密な描写。登場人物一人一人に対する、もはや執念とも言うべき筆致。そして細かく張り巡らされた伏線の数々。

 まさに圧巻! 高村薫の「(推理小説界の)女王」たる所以が随所に現れています。
 映画の方ももちろん観たのですが……これは2時間の映画ではなく、是非ともワンクール(13話)のドラマにするべきですね。

(追記:WOWOWで連ドラにしてくれていましたね!  しかも上川さん主演!! これはよかったです!!)

 「合田雄一郎」シリーズはこの後、「照柿」、「レディジョーカー」、「太陽を曳く馬」へと続いてゆきます。

 「照柿」はNHKでドラマに、「レディジョーカー」も映画化されました。
 「レディ~」のほうは20年前の「グリコ・森永事件」を髣髴とさせる企業脅迫事件ですので、併せて「闇に消えた怪人――グリコ・森永事件の真相」(朝日新聞社)を読まれると、より一層面白いと思います。


マークスの山

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  • 「神の火」

    Excerpt:  首都圏にお住いの方は、毎週木曜日にリクルートが発行している『R25』というフリ Weblog: 独善的な読前書評 racked: 2005-06-18 23:53
  • 03/02/23 高村薫の直木賞 『マークスの山』 その1

    Excerpt: このほど改訂版が発刊された。 帯には「警察小説の金字塔」とある。まさに文字通りの傑作である。 マークスと名乗る二重人格の青年の狂気と仲間の秘密を共有しあった政・財・官・法曹界のエリートたちの狂気.. Weblog: 日記風雑読書きなぐり racked: 2006-04-16 13:55