「連合赤軍 「あさま山荘」事件」/佐々淳行(文春文庫)

 役所公司主演で映画にもなりましたこの本。
 初めは単に「ドキュメント」として読んでいたのですが、文章の端々に、筆者の生々しいぼやきや、激情の果ての激昂の言葉が見えかくれしてい、小説を読むかのようにグイグイと引き込まれ、一気に読破してしまいました。
 絶対に原作の方が面白いです。今は有名になった議員の亀井静香氏。今は郵政民営化で気炎を吐いておられますが、この頃は警視だったんですね。この本の中では「名前は「静香」だがちっとも静かでない。なんで親御さんもこんな名前をつけたのだろう。」と評されていて面白い(爆笑)。
 あと、元首相の後藤田正晴氏。佐々氏の直接の上司だったのですね。当時は警察庁長官。
 すごい顔ぶれが出てきます。

 私は1970年(昭和45年)生まれ。幼い頃から人に訊かれれば「バンパクの年の生まれ」と、両親から聞いたとおりに能天気に答えていたものですが、まさにその頃に、三島由紀夫氏の事件、よど号ハイジャック事件などが起こっていたのです。
 後に、ふとした事から…小説や文献、テレビ報道などで時折取り上げられる記事や特集などから…興味を持って調べてゆくうちに、自分の生まれる前後に、今では想像もつかないようなことが起こっていたことを知り、愕然としたものでした。
 生まれてまもなく、または物心つくよりも前に起こったその出来事が、よもや自国内で起こった出来事であるということすら、にわかには信じられませんでした。
 私自身、思想的に右にも左にも傾いてはいません。というよりも、私たちの世代では嘆かわしいことに、その「右」と「左」の区別もつかない人も多いです。天皇制に賛成だの反対だのという主張すら持ち合わせることなく、「国歌斉唱、何でやらないの?」「国旗掲揚のどこがいけないの?」…私たちの世代ではこれが普通でしょう。
 大学へ行ったところで、テキトーに授業を受け、テキトーにサークル活動をして、代返が頼める授業はとことんサボり、赤点ギリギリで単位を取り、何とか留年せずに卒業証書を受け、「これで『学士』様だってさ!!」と自らを嘲笑する。
 これが「バブル期」に学生時代を過ごした、私たちの実情です。
 学生運動なんてものは、もはや伝説。一部そうした活動をしていた学生も学内にいましたが、彼らのことを私達は影で冷笑していました。「イマドキ、はやらないよね」「馬鹿じゃないの?」「関わるとヤバイよ」ナド等。
 むしろ私たちにとっては、左翼・右翼よりも、「宗教」のほうがより身近な脅威だったように思います。
 というのも1980年代前半、小学生から中学生であった私たちの周りには、「ノストラダムスの大予言」「ハルマゲドン(最終戦争)」「人類滅亡」「超能力」「核戦争」「核の冬」などの言葉が飛び交い、1999年にはアメリカとソ連が核戦争をはじめ、あっという間に地球人類は滅亡する…という人類滅亡のシナリオがあふれていたのです。
 当時の「大人」たちにとってみれば「そんなSF小説みたいなこと起こるわけがない」「子供を怖がらせるために作ったお話」と笑われそうな話ですが、しかし、これは実際「五島勉」さんという方…つまり私たち「子供」にとってみれば立派な「大人」…が書かれた本に載っていたことであり、また「ムー」という天下の学研発行の少年少女向け雑誌に、当時堂々と掲げられていたテーマでもあり…私たち「子供」はその話を「口裂け女」と同レベルで、いえそれ以上に信じきっていたものでした。
 しかし実際には、その何年後かにはソ連は消滅し、アメリカは核のボタンを押すことなく、ノストラダムスの予言通り「恐怖の大王」が空から降ってくることもなく21世紀を迎えることが出来ましたが…しかし今思えば、そうしたマスコミや一部雑誌などの影響を多大に受けすぎた結果、宗教(特にオウム真理教)に心の拠り所を求め、果ては「予言の成立のため、自らが予言を実行する」などという本末転倒な暴挙にでる輩が出たのです。
 彼らを庇うわけではありませんが、私自身、あの時期にあの宗教の勧誘を受けていたら、入信していたかもしれません。幸いにもこんな田舎町には彼らの拠点はなく、私は入信せずに済みましたが、しかし、不幸にも入信してしまい、その挙句「狂信」に至ってしまった彼らの心情は理解できます。
私たちの世代にとって80年代とはそういう時代だったのです。「地下鉄サリン事件」などという前代未聞の無差別テロを起こした彼らに同情の余地は微塵もありませんが、しかし彼らも最初は「大人」たちの煽動した「世界滅亡のシナリオ」に絶望させられ、悲嘆し、自分にできること、心の拠り所を探した結果「オウム」に取り込まれてしまった人たちであることは間違いないと思います。

 話が逸れてしまいましたが、この本を読んで、一番に思ったことは…この当時以上に今の日本は「平和ボケ」してしまっているな、ということでした。
 凶悪な事件…人質立てこもり事件、強盗事件、強盗放火事件、ストーカー殺人、幼女誘拐・殺人、凶悪犯罪の低年齢化…それらは毎日のようにテレビや新聞紙上を賑わせていますが、最近それらに関して、警察の初動捜査の遅れや不祥事隠しなどが再三にわたって指摘されています。
 佐々氏が書いているような「気骨」のある警察官は、一体どこになりを潜めてしまったのでしょうか?
 「昭和元禄」の侍は、昭和の終わりと共に死んでしまったのでしょうか? 
 もう「平成」の時代に「侍」は現れないのでしょうか?
 もっと警察にはしっかりしてもらいたいなあ…と思いました。

連合赤軍「あさま山荘」事件―実戦「危機管理」

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