「セシリア・ドアーズ」全2巻/江ノ本瞳(新書館ウイングスコミックス)

 センシティブな絵と作風で知られる江ノ本瞳氏の秀作。
 「染視病」という不治の病がはびこる近未来が舞台。少女・響が街で出会ったのは海(かい)という不思議な少年。海は自分に欠けている"WET"(=身体(ハード)でも知識(ソフト)でもない何か)を探しているという。彼と一緒に旅に出た響だったが、荒んだ社会の中で見つけたものは…。

 痛いんですよこの話…話自体も、登場人物も。
 みんな、何かどっか欠けてるというか壊れているというか…。
 海は恐ろしく頭はいいけど(染視病の特効薬を作っちゃうくらい)、感情が欠落しているし、響は崩壊家庭で、死んだ母親の連れこんだ男に暴力受けてて、その男に生まれたばかりの幼い妹を踏み潰されて殺されちゃってるし…(涙)。
 海の双子の兄弟は染視病の兆候が出ていて、両親の離婚や何やらでグレて裏社会に足突っ込んで、暴力的で。
 カルトな宗教に拠り所を求める大人、取り残される子供達…実に重い、痛い、話です。

 海のいう「ウエット」というのが、潤い…というか、揺り動かされてジュンと染みるような心の動き…例えば嬉しくて泣きたくなるような気持ち…だというのがわかった辺りで、なんだかこっちまで泣きたい気持ちになった覚えがあります。
 
 この方の某作品の同人誌(作品名を伏せるのは、原作者本人が同人誌を嫌ってらっしゃるそうなのでその為の配慮です)の話も、会話はドライなのに、ウエットな心情に溢れた作品が多かった覚えがあります。

 好き嫌いが分かれる作品だと思うので、ご注意を。セシリア・ドアーズ

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