「白昼堂々」/長野まゆみ*注意

 満を持して…というほどでもないですが…長野まゆみ氏の本。



 長野氏の本は、ほぼデビュー当時から読ませていただいているのですが…この辺りから、初期の作品とははっきりと作風が違ってきました。 「夏至南風(カーチィ・ベイ)」「テレビジョンシティ」そして「雨更紗」辺りからですね。年代で言うと1994年前後でしょうか。この三作品を読んで…愕然とした覚えがあります。
 私などは「ついにやったか!!」とにんまりした部類なのですが…初期の作品群をこよなく愛する方々には、また別の意味で衝撃を与えた作品たちであったでしょう。
 何故って…いや…その…はっきりと、肉体的接触ですとか、同性間の恋愛感情とか…そういうものが描かれるようになってきたから…。  

 更には、「雨更紗」「夏至南風」からは、女性が出て来るようになりました。
 それまでの長野氏の作品で女性が出てきたことは…殆どありません。私の記憶が正しければ一作だけ…「魚たちの離宮」という初期の作品に、おばあさんが出てきたことがあるくらい。それも黙ってお茶とお菓子だけ出して引っ込んだ…っていうくらいでしたか。
 私の友人などは「なんか、「少年」しか出てこんのが、わざとらしい」と嫌っていましたが。
 長野氏自身、何かの対談で「女性を書くと、自分とダブってしまって、妙に生っぽくなるから、あえて書くのを避けていた」とおっしゃっていました。

 たしかに、初期の作品群の中の少年は鉱質なイメージで、生物的なところを削ぎ落とした、別世界の生き物…いや、自動人形(オートマータ)的なところがありました。
 今でも、ファンタジー系の話の中に登場する少年達はそうした側面を持ってはいますが。
 この「白昼堂々」は初め短編で書かれ、のちに続編が次々と書かれシリーズ化した作品です。
 文章や字面は長野氏のものなのですが…お話の方はいわゆる「ボーイズ」系。
 1976年初冬。由緒ある華道家元の若き跡継ぎである原岡凛一は、従姉・省子の男ともだちだったアメリカンフットボール部のエース氷川享介と出逢う。その邂逅が、やがて二人の運命を変えていくことに…。冬から春、やがて夏へと移ろう季節の中で、彼等の思いはどこへ向かうのか。
 凛一の希みは叶えられるのか……。少年たちの切ない恋を描いています。

 長野氏の作品は大きく3つに分かれます。近未来や別世界を舞台にしたファンタジー系…初期の作品群ですね。あと、「なんでこういう展開になるかなあ…?」と頭をひねる不条理系(失礼)…「新世界」などですね。そしてこういったボーイズ系…「白昼堂々」「紺碧」シリーズなど。
どれも文体や字面は長野氏のものなのですが、それだけに特に不条理系の作品群は…解釈に苦しみます。 
 私はこの「白昼堂々」のシリーズと、「紺」シリーズが特にお気に入りです。
 是非とも今夜の枕の友にどうぞ!



白昼堂々

第二弾。「碧空」


第三弾。「彼等」




第四弾。「若葉のころ」

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この記事へのコメント

2005年12月09日 20:48
長野さんは多作ですよね。私は全部は読めてはいません。独自な世界をもっておられる方だと思います。
かずくん
2005年12月09日 21:51
そうですね。
独特の文字使いといい、描写といい、世界観といい…一種独特な世界をご構築なさっていらっしゃいますよね。美大のご出身ということで、ビジュアルにもものすごくこだわりがおありのようですし。
私もデビュー当時から読んでいなければ、これほど多くの作品を読むことはなかったかと思います。
多分、私の蔵書の中で一番多い作家さんではないでしょうか?(その次が菊地秀行氏と栗本薫氏、赤江瀑氏でしょう)
2005年12月10日 00:33
はじめまして。TBありがとうございます!
最近読書離れをして読んでいませんが、彼女の作品は大好きです。
一番苦労して読んだのが「テレビジョン・シティ」でした。彼女の書く作品の風景というのを頭の中で思い描くのは、私にとって大変困難なことなので(難しい・・・)、とにかく、今、誰がどこにいるのか、などアタマフル回転してました(^^;)
読書離れしてると書きましたが、いまだ新刊が出ると買ってしまいます。読んでないだけ・・・です(笑)

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