「僕だけが知っている」全一巻/竹宮恵子(角川書店アスカコミックス)*注意

 1月7日から3月3日まで、竹宮氏の生まれ故郷である徳島市文学書道館にて「竹宮恵子の世界展」が開催されていることをご存知だろうか?
 それにあわせた…というわけでもないのだが、今回は竹宮氏の作品である。

 竹宮氏といえば「風と木の詩」が多分一番世に知られた作品であろうと思う。あの時代にあのテーマ…毎回編集者と、喧嘩と騙しあいをしながら内容と扉絵、表紙などを描き続けた…と言われる問題作。例えばカラーの表紙や扉絵などは…直前まで違うものを提示しておいて、締め切りのギリギリまで引き伸ばし、もう伸ばせないところまできて本命の絵を提出した…などというエピソードが数限りなくあるそうである。なぜならばその頃の少女漫画誌の表紙を飾るのは、必ず「女の子」でなければならない…という無言の了解と圧力があったからだ。
 竹宮氏などの先人の、こうした地道な苦闘の甲斐あって、現在、堂々と一般少女漫画誌の表紙を少年が飾ることが出来、尚且つ、一般少女雑誌の中に「ボーイズ物」と呼ばれる一連の作品群を載せる雑誌が堂々と並ぶことが出来るようになったのである。
 …まあ、彼女らたちの啓蒙のお陰で、地下水脈(同人界におけるボーイズ物)にそうした作品が常識のように流れ始め、それがじわじわと表層部分である地上に染み出してきた…ということなのでしょうが。

 さて、この「僕だけが知っている」であるが、中には表題作の他、「LaLa」に掲載された「誰にもやらない」が収録されている。
 「僕だけが知っている」は妖怪などが見える少年の話。その特殊な視野に写ったものをビデオテープに映しこむことができる…という設定が現代っぽい。
 彼の能力を知っていたのは死んだ祖母だけ。その祖母の残した鎌倉の家に引っ越してきた彼は、一匹の鬼と出会う。鬼は彼の元に夜な夜な現れるのだが…。
 この彼が知り合う女の子のキャラも面白い。特殊能力を持っている巫女さんなんだけど、幼いのにこまっしゃくれてて勇ましくて。

 「誰にもやらない」は大学で精神分析学を学ぶ主人公と、隣に住む少年との話。この少年、母親の前では泣き虫の甘えん坊、学校ではひ弱ないじめられっこ、かと思えば追い詰められると…いじめっ子たちを指示して集団万引きを計画したりする知能犯。
 一体彼の本当の顔はどれなのか…?
 ちょっとミステリアスな展開なんですが…この主人公の男性がショタなのが竹宮氏らしい(爆笑)。
 古書店探して読んでみてくださいね。



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