「人工憑霊蠱猫」/化野燐(講談社ノベルズ)

 表紙とタイトルで思わず手にとってしまったシリーズ…そうかよ、表紙デザインは京極先生かよ(汗)。道理でな(笑)。


 ある学園都市で起こる、現代の妖怪譚です。
 創立者・美袋(みない)玄山の立てた学校をもとに作り上げられた「美袋学園」。そこでは鬼(妖怪や妖物)の実在を信じる者達=有鬼派と、それに対する無鬼派が常に論を戦わせ、しのぎを削り続けていた。
 玄山の膨大なコレクションや書物、書簡などを収めた付属図書館に勤める司書・美袋小夜子。彼女は玄山直系の子孫であり、玄山の遺産の継承者である。
 ある日、彼女は書庫の床に、封印された隠し扉を見つける。そしてそこで、自分が謎の手術をされ、猫に改造される夢を見る。更にそこで彼女は、玄山最晩年の書物「本草楷恠図譜」を発見する。直後、有鬼派に狙われる小夜子。鬼神を実体化する力を秘めた一冊の書物を巡り、壮絶な戦いが始まる。

 文章は読みやすく、しかも緻密に組まれたプロットと伏線! ①~③では五人の主要キャラ(あえて主人公とは言いませんよ)が、それぞれの口からここ一年半の間に起こった出来事について語ってゆくんです。
 まず美袋(みない)学園創立者の子孫にして、現在は美袋学園付属図書館の司書・美袋小夜子。美袋学園大学部の学生・白石優。かつては人類学科の講師でありながら、学内の出世争いに敗れ、今は記念館準備室に島流し状態の、時実。白石らが製作しようとしていた妖怪データベースのプログラミングに関わった石和百代。そして…彼らにさりげなく近づき、ある時は助け、ある時はすれ違う謎の男・龍造寺。
 彼らの一年半がそれぞれの立場、それぞれの口から語られ…少しずつ全体像が見えてくるんですね。主要キャラ同士が交わしたセリフがそのまま使われてるので、時間軸が追いやすい。よく考えてあるなあ…と思いました。話も面白いし!!

 個人的には小夜子ちゃんが一番のお気に入り! プロフィールにもあるように、私自身とある県立高校の図書館司書だったもので。
 そうそう、そのころ生徒には「黒い先生」と呼ばれておりました(爆笑)。黒い服しか着ていかなかったから。一応「図書館の先生」だもんで、ジーンズで行くわけにゆかず…黒いスラックスに黒いシャツやタートルネックを合わせて行ってたものでね。黒一色だと、あれこれ考えなくていいじゃないですか? あと、同じものを何日着ていってもわからないし(爆笑)。だからもうほぼ制服のように、黒ばっかり着てましたね、当時は。

 いやしかし…別にミステリ小説じゃないんだから、龍造寺くん、そんな『トリック』使わなくってもいいんじゃない??と思ったのは私だけ? あと城野さんもさ…これ、漫画だとちょっとやりにくいだろうなあ…。何のことか気になった方は、是非ご一読を!!


 そうそう、化野氏はあちこちで妖怪のエッセイとか解説とかも多数お書きです。
 別冊宝島「僕たちの好きな京極夏彦」にも中禅寺の人物解説などをお書きでしたね。
 氏の主宰されているHPはこちら→http://www.youkai.org/




蠱猫―人工憑霊蠱猫〈01〉

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