「北神伝綺」/森美夏(作画)大塚英志(原作)(角川ニュータイプ100%コミックス)

 「帝都物語」の項でも紹介した大塚英志氏原作の「偽・日本史」漫画。
 昭和初期の日本がその舞台。
 山人(山の民)の末裔にして、元・柳田國男の弟子でもあった兵頭北神。
彼は柳田が葬り去ろうとしていた仮説に興味を示したため、その資料ごと破門される。彼に託されたのは「山人」…まつろわぬ民族、原日本人の資料。それは民俗学が科学となるために、異端として切り捨てなければならなかった闇の部分。
 そして彼は密かに「山人」が絡んでいると思われる事件にかかわりあってゆく。

 大塚氏は「MADARA」「サイコ」「黒鷺死体宅配便」など多くの漫画原作を手がけている。そしてその根底にあるのは「民俗学」である。なんでも筑波大学で民俗学をやっていたらしい。「柳田國男の孫弟子と言えなくもない」とあとがきにもある。
 漫画の編集者、原作者、そして「都市民俗学」の論説者。特に「ロリコン」ものや少女関連のものが多い。今日の「おたく」文化の先導者といえなくもない。
 その豊富な「民俗学」の知識は「MADARA」「北神伝綺」「木島日記」にいかんなく発揮されている。

 さらにこの漫画で興味深いのは、実在の人物や事件がストーリーに大きく絡んでくることだ。
 柳田國男、宮沢賢治、竹久夢二、伊藤晴雨、甘粕正彦、出口王仁三郎、北一輝、平井太郎(江戸川乱歩)…露社事件、坂田山心中、二・二六事件。
 知っている人ならば、思わずニヤリとしてしまうだろう。「そうか、この人(事件)をこう使うか」と。
 図書館で「昭和の事件史」を借りてきて、照合しながら読んでみてもいいかも。
(私はそうしました(笑) マニアックですね)

北神伝綺 (上)北神伝綺 (下) 角川コミックス・エース 125-2

"「北神伝綺」/森美夏(作画)大塚英志(原作)(角川ニュータイプ100%コミックス)" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント