「隠された帝 天智天皇暗殺事件」/井沢元彦(祥伝社)

 以前紹介した「逆説の日本史」と重複するのですが、こちらの方が読みやすいかもしれません。
 サブタイトルにもあるようにこの小説の中では「天智天皇暗殺」説を検証しています。
 日本書紀によると天智天皇は病没したことになっているのですが…のちに「扶桑略記」という本の中には驚くべき記述が…それは「天智天皇は馬で遠乗りをしたのち、行方がわからなくなった」というもの。これを現代の権威ある歴史学者達は「四百年も後に書かれた本の記述は信頼するに当たらない」とばっさりと切って捨ててしまうのですね。
 しかし、彼らの言う「信頼に価する資料」であるはずの日本書紀における数々の矛盾…天武天皇の生没年、及び年齢の記述が一切無いこと、天武天皇が歴史上名前を表わす時期が異様に遅いこと…なども、この本で紹介される異説を用いれば、実にスッキリと説明できるのです。この事実を彼らはどう説明するつもりなのでしょう?
 天智天皇暗殺説、そしてその犯人と動機の究明、更には天智天皇と天武天皇が兄弟ではない!ということの論証…続々と解けてゆく謎はなかなか痛快ですよ。
 
 ただ…この方の歴史ミステリーってのは…作品中で展開される「現実」のミステリーの方はあんまり面白くないんですよね~。っていうか、解明される歴史の謎とはあまり関係ないと言うか…むりやりこじつけてあるというか…。「京極」のように、本文中で語られる雑談や雑学がミステリーそのものを説く鍵にはなっていない…ので。
 ま、「逆説の日本史 2」と併せてお読みください。

"「隠された帝 天智天皇暗殺事件」/井沢元彦(祥伝社)" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント