「リアルであること」/中沢新一(メタローグ)

 「一時間文庫」と銘打たれているだけあって、薄くて短いエッセイで構成されている本です。
特に「タナトス小僧の冒険」は共感できる所がありました。
 大人よりも身近に「死」を考え始めている若者達。「ヘアヌード写真」に「エロス」を見る大人と、「タナトス」を見る若者。疑似体験としてしか体験し得ない「死」を、他のものに求め、そして鋭く見出してゆく目。画面の向こうの「現実」、溢れ返る雑多な情報、それらに一つの真実を、一つのリアルを見出すことこそが、今、必要なのだと彼らは気付き始めている。
 私は戦争を知らない第二世代の人間ですが、やはり、大人たちによって巧妙に覆い隠された「リアル」と「死」を見つめて生きることこそ、「真実」に「生きる」ことなのだと思います。
 
 中沢氏は、本職は宗教学者なのですが、例の「オウム真理教事件」の時にはマスコミなどに一切出てきませんでした。是非とも中沢氏の本音を聞きたかったところなのですが…。
 早くからチベット密教に興味を持ち、実際チベットに行って修行したこともあると言います。
作家の夢枕獏氏とも交流があって、「ブッダの方舟」という対談集も出してらっしゃいます。
 「宗教入門」(マドラ出版)という本もあって、こちらはテレビ東京の「真夜中の学校」という番組に出演したときの公開録音集。すごくわかりやすくて、面白いです。宗教の概要を掴みたい、と言う方に私がお薦めする本です。「仏教はなぜモテないか?」とか、キリスト教の基本理念などを語り口調で易しく解説してくださっています。

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