「ブルー・ヘブン」全三巻/高橋ツトム

 「地雷震」の高橋ツトム氏の問題作。



 豪華客船「ブルー・ヘブン」が太平洋上を漂流していた小船と遭遇、生存者の男二人が救出された。
 酷く衰弱してはいたものの、若い男は無傷。しかし、その小船の中は凄惨そのものだった。
 もう一人の生存者の男の口から、その恐るべき惨劇が語られ始めたとき…”鬼子”=李盛龍は動き始めていた。「生き残る」そのために…。

 暴力的なシーンの連続なんですが、私はこの話、妙に好きですね。読みながら、李盛龍に肩入れしてしまっていました。根本的な価値観や世界観…そういうものは多分お互い、全く理解できあえはしないだろうとは思うのですが、どうにか…それでもどうにか彼を変えることは出来ないものかと(もしくは彼の価値観を覆すことを、登場人物の誰かがやってくれないかと)思いながら読んだのでした。いや、価値観を覆すだけではなく……誰かが彼を救えないものかと……。
 しかしそんな希望を、作者ははねつけます。ええ、この高橋ツトムという漫画家は、そういう人なんです。
 「人間」とは、「文明」とは、そして「生きる」とはどういうことなのか? 考えさせられる話です。 



 
 

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