「花夜叉殺し」/赤江瀑(立風書房『風幻』 他収録)*注意

 赤江瀑氏の短編。京都を舞台にした物語です。



 名高い造園家の妾腹として生まれた一花。彼はある日から夜毎、閉ざされた銀閣寺の庭に忍び入るようになる。手には目に見えぬ血刀を携え、その瞳には狂気の色を浮かべて。彼は日毎、夜毎、銀沙灘へ、深々とその血刀を杭打ち続ける。己の狂気を静めるために、己の若い性の迸りを鎮めるために。
 錦木家に、その家の庭仕事が入ったのが物語の発端である。かつて腕利きの庭師が入っていたとは信じられぬほどその庭は無秩序に、花木だけが植えられ、庭としての形を持たぬ庭であった。
 「あの庭に手ェだしたらあかん…」と言い残して死んだ老庭師の言葉に、どんな秘密が秘められていたのか。それを確かめるために、当主であり一花の腹違いの兄でもある篠治はその庭に手を入れ始める。
 庭の持ち主でもある女主人・あき江。そして彼女に「庭の主」と評される老婆・勢。
 五十年前に起こったといわれる、この庭を作った庭師と庭の女主人との心中未遂事件…やがて庭木がその本章を現すにつれ、あき江もまたその本性を現し始める。
 花の香りに狂わされる二人の男と一人の女。女の香りが残る篠治の精悍な躰を、屈辱と涙に咽びながら貪り続ける一花。
 むせ返るような花の香りの下で繰り広げられる痴態と血の惨劇…。

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