テーマ:赤江瀑

「夜叉の舌」/赤江瀑(角川ホラー文庫)

 氏の短編の中でも、これほど明朗で清々しい話は少なかろうと思われる。  舞台は近江の町外れ、ある鞘師の家。縁があってこの家に養子としてもらわれてきたという青年・平河友威。  家に入った当初は、実家へ帰ることばかり考えていた彼だったが、その考えを翻らせたのは、養父の言葉と一匹の蜘蛛の存在だった。  若き鞘師と、一匹の蜘蛛。それは彼が…
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「花夜叉殺し」/赤江瀑(立風書房『風幻』 他収録)*注意

 赤江瀑氏の短編。京都を舞台にした物語です。  名高い造園家の妾腹として生まれた一花。彼はある日から夜毎、閉ざされた銀閣寺の庭に忍び入るようになる。手には目に見えぬ血刀を携え、その瞳には狂気の色を浮かべて。彼は日毎、夜毎、銀沙灘へ、深々とその血刀を杭打ち続ける。己の狂気を静めるために、己の若い性の迸りを鎮めるために。 …
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「花曝れ首(はなされこうべ)」/赤江瀑(立風書房『風幻』収録)

 化野念仏寺を訪れたことはあるだろうか? そこは嵯峨野の最奥、小倉山の北山麓…かつては風葬の地として知られたその付近に建つ寺である。訪れる多くの観光客は、しかし一旦境内に入れば一種異様な光景に目を見張るであろう。大小様々な無縁仏の集められた、その異様な光景に。  婚約者との恋に破れた篠子。雨宿りにと軒を借りたその家で、彼女は二人の美麗…
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「赤江瀑」という作家

 「赤江瀑」という作家をご存知だろうか。  彼こそ、現在の日本文学界に絢爛と咲き続ける闇の徒花(あだばな)であると私は確信している。  耽美、幽玄、妖艶、絢爛、夢幻……氏の描き出す不可思議な幻想世界を形容する言葉はいくつもある。  しかしどれだけ言葉を尽くしたとしても、氏の紡ぐ作品の妖しさ、激しさ、美しさを表現することは出…
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「オイディプスの刃」/赤江瀑(角川文庫)

 刀と香水、そして京都…この千年の古都を舞台にした作品が多い作者の、これはまさに独壇場とも言える作品。  「オイディプス」とは、ギリシャ悲劇の奇才・ソポクレスが書いた戯曲「オイディプス王」の主人公の名である。精神医学の分野では「エディプス」とされ、「エディプスコンプレックス」とは、父親を憎み、母親に愛着を抱く心理をさす。  戯曲の中…
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